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September 2008

2008.09.30

米国銀行問題に関する文章 備忘録

備忘録です。

The new big three
http://interfluidity.powerblogs.com/posts/1222397584.shtml

シティ、BofA、JPMと米自動車メーカーのビッグ3との類推が面白い。GMに政府の緊急融資などしていなければ、リストラが進んで、外国の自動車メーカーとも競えるような状況になっていたかも・・・という話。

Everybody Calm Down. A Government Hand In the Economy Is as Old as the Republic.
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/09/26/AR2008092602838.html?nav=rss_print/outlook

政府が関与するからといって文句を言うな。米国建国のときから政府は関与してきた、という話。シラーの文章なので以下、中心部分を抜粋しておきます。

Capitalism is not really the best word to describe this arrangement. (The term was coined in the late 19th century as a way to describe the ideological opposite of communism.) Some decades later, people began to use a better term, "the American system," in which the government involved itself in the economy primarily to develop what we would now call infrastructure -- highways, canals, railroads -- but otherwise let economic liberty prevail. I prefer to call this spectacularly successful arrangement "financial democracy" -- a largely free system in which the U.S. government's role is to help citizens achieve their best potential, using all the economic weapons that our financial arsenal can provide.

Governance of banks
http://www.voxeu.org/index.php?q=node/1717

銀行に大株主がいるときはガバナンスに問題が生じやすい。リスクを多くとることで株価を上げようとするからだ。預金保険もその場合はモラルハザードとして働く・・・といった説。なかなか良いポイント。

Not so much bail-out as rip-off
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/sep/29/wallstreet.useconomy

ルービニ氏の文章。最近のIMFのペーパー(80ページの大作!)によると、銀行救済の手段としては不良債権の買取という方法は適切でない。優先株を買うべき、という話。

ちなみに、銀行救済には以下の方法がある。
Such government-led recapitalisation – via the use of public resources – can occur in a number of ways: by purchasing bad assets or loans; an injection of preferred shares; an injection of common shares; a purchase of subordinated debt; an issuance of bonds to be placed on the banks' balance sheet; an injection of cash; credit lines extended to the banks and government assumption of government liabilities.

What's in that big bailout bill? A first look
http://time-blog.com/curious_capitalist/2008/09/whats_in_that_big_bailout_bill.html?xid=rss-curious

今回否決された銀行救済法案の中身がかいつまんで書いてある。便利。(TIME誌より)

The WaMu Story
http://www.forbes.com/opinions/2008/09/26/wamu-morgan-deposits-oped-cx_lw_0926white.html

アメリカ史上最大の銀行破綻(ワシントン・ミューチュアル)がJPMチェースに譲渡されることでスムーズに解決されたのは素晴らしい。でもJPMチェースは19億ドルしか払わなかったけどね・・・という話。預金が1880億ドル、資産(簿価)が2400億ドルあるのだから、支店の価値も考慮すると520億ドル以上はないとおかしいのだが・・・。

An Open Letter to my Friends on the Left
http://myslu.stlawu.edu/~shorwitz/open_letter.htm

「左翼の友人への公開書簡」とはまた強烈なタイトル。なかなか面白い。
1)Greedは人間の本性。今の時代の金融業界だけがgreedyであるはずがない。
2)ファニーメイとフレディーマックは政府の保護があったのでおかしくなった。自己資本は民間銀行の四分の一でよく、また低所得者層に貸す必要があった。
3)企業同士が互いに厳しい競争をすることで、消費者に利益がうまれる。

では、今日はこの辺で。

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じゅげむ

ある銀行に電話をしました・・・。

「もしもし」

「はい。こちらはJPモルガン・ワシントンミューチュアル・チェースマンハッタン・ケミカル・ベアスターンズ・バンクワン・マニハニでございます。」

こうなれば政府も潰せない。すなわち"Too-Complicated-To-Fail"ということでしょう。でも、もっと長くなっていくかも・・・。

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2008.09.29

今日のアメリカは十五年前の日本と異なっているいくつかの理由

最近始まったPeterson Instituteのブログに"Several Reasons the US Today is Not Like Japan 15 Years Ago"というエッセーがありました。備忘録として。

これによるとアメリカは日本よりもましな理由には以下の七つがある、とのこと。
1.FRBは日本のバブル崩壊後よりもずっと積極的な金融緩和政策をとった。
2.日本よりもアメリカのほうがずっと大規模の財政出動がされている。
3.不良債権処理と銀行の資本増強が日本よりずっと早く進んでいる。日本は8年以上かかった。
4.米国では時価会計により銀行は透明性と規律を確保する必要がある。日本は護送船団方式の下、不良債権が隠れていた。
5.米国では住宅ローンの問題が企業信用や消費者信用にちょうど今くらいから悪影響を与えるところだが(通常の景気伝播による)日本では銀行と非金融機関との構造的結びつきにより影響が増大し、資産価格の下落が同様に起こった。
6.アメリカはある程度インフレ環境にあり、今になって住宅バブル崩壊によってそれが打ち消されるところだが、日本では進行中のデフレ圧力が消費を押し下げた。
7.米国は資本の輸入国で、預金が少ない。そのため景気減速で預金が増えることでプラスに働く面がある。日本では景気後退の前から預金過多の問題があったため、状況がさらに悪化した。

それから竹中平蔵氏に対する評価が高いのが目に付きました。

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2008.09.28

ルービニの記事 その他

備忘録です。

FTの記事。"The shadow banking system is unravelling"
http://www.ft.com/cms/s/0/622acc9e-87f1-11dd-b114-0000779fd18c.html?nclick_check=1

Forbesの記事Ten Steps To Recovery
http://www.forbes.com/opinions/2008/09/25/mortgage-debt-relief-oped-cx_nr_0925roubini.html

政府は、不良債権を買い取るだけでなく、銀行に出資しろ。そうすれば将来のアップサイドの利益が(もしあれば)納税者に戻る、というのはそのとおり。(彼以外の人も主張していますが。)


ちなみに、不良債権を買い取ることの意味について、私はこう考えています。現在は市場の流動性の悪化と投資家の心理の冷え込みで価格が実際の価値よりも低くなっている可能性が高い。そこでそれを政府が買い上げることで、金融機関が助かる。一方、将来に市場が正常化すればそれらの不良債権の価格は上昇するはずなので、納税者もハッピー、ということです。

でも、この政策が正しいかどうかはもう少し考えてから書きたいと思います。そのためにも色んな人の意見を読んでいます。

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2008.09.26

投資銀行のビジネスモデル破たん

ジェイキャストの新しいエッセーはこちらです。

本稿はナシーム・タレブ著の「ブラック・スワン」に大きく影響されたものです。彼は自身がクオンツのトレーダーだったので、ブラック・ショールズ理論が現実には使い物にならないことに気づいていました。彼は「実験室でのみ妥当性を持つような理論は使えない」と言い切っています。そして、リスクは、正規分布ではなくフラクタル的な分布をすると主張しています。つまり身長の分布ではなく、収入の分布(ビルゲイツ・・・)のようなものだ、と。

サブプライム問題や日本のバブル崩壊をみると、銀行のように普段は安定しているように見える業種ほど、いったん何かが起きると一気に崩れるリスクもまた大きいことがわかります。そういうリスクにどう対処いくかの処方箋が求められているのでしょう。

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2008.09.25

七千億ドルの行方

アメリカの債権買取機構の案について議論が広がっています。以下、備忘録として。

本件についてジョージ・ソロスがFTで興味深い論を展開しています。
http://www.ft.com/cms/s/0/9973c5b0-8a6d-11dd-a76a-0000779fd18c.html(購読者のみ、かも?)

主眼は「不良債権を買い取るのはやめて、かわりに金融機関へ資本金として注入しろ。700億ドルあれば住宅バブル崩壊の穴を完全に埋められる」というもの。

Paulson cannot be allowed a blank cheque
By George Soros

Hank Paulson’s $700bn rescue package has run into difficulty on Capitol Hill. Rightly so: it was ill-conceived. Congress would be abdicating its responsibility if it gave the Treasury secretary a blank cheque.
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Mr Paulson’s proposal to purchase distressed mortgage-related securities poses a classic problem of asymmetric information. The securities are hard to value but the sellers know more about them than the buyer: in any auction process the Treasury would end up with the dregs. The proposal is also rife with latent conflict of interest issues. Unless the Treasury overpays for the securities, the scheme would not bring relief. But if the scheme is used to bail out insolvent banks, what will the taxpayers get in return?
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The injection of government funds would be much less problematic if it were applied to the equity rather than the balance sheet. $700bn in preferred stock with warrants may be sufficient to make up the hole created by the bursting of the housing bubble. By contrast, the addition of $700bn on the demand side of an $11,000bn market may not be sufficient to arrest the decline of housing prices.

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一方、ポール・クルーグマンが討論会で発言しています。それによると、「税金を投入することは必要。でも今のやり方は拙速。住宅ローン問題は片付いたので(ファニー・メイとフレディー・マック)これから時間をかけて議論する余裕がある」ということ。ちなみにアラン・メルツァー(カーネギーメロン大学)はもっと過激で「今まで政府が介入して本当に役に立っていたのか怪しい。放っておけば良いのではないか。政府が「誰か助けて」と言えば、日本や中国などがカネを入れてくる。」という意見。
http://www.pbs.org/newshour/bb/business/july-dec08/bailouttalk_09-23.html

以上。

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2008.09.22

GSとMSが銀行に

ゴールドマン・サックス(GS)とモルガン・スタンレー(MS)が銀行になった。(より正確には銀行の持株会社ということらしいが、実態として「銀行」と言っても変わるところはない。)

これは何を意味するか?特に重要なのは以下の三つだろう。

1)FRBからの資金を正々堂々と(?)借り入れることができる。
2)FRBの監督を受けることになる。
3)BIS等の自己資本比率規制に従う必要がある。

銀行は広く預金者のカネを集めて企業に貸し出す存在なので、その社会的意義から政府の細かい規制と保護の下におかれている。一方、証券会社は、第一義的にブローカーであり、また自己勘定で売買するにしても流動性の高い証券を扱うため、厳しい規制は必要ないとされてきた。その規制のゆるいところを利用して儲けてきたのが大手投資銀行である。(ちなみに証券会社のチェックは第一義的にSECが行っている。)

ともあれ、この二社は実態的には今までと変わりが無いのだから、これは生き残りをかけて考えついた苦しい「奇策」というしかない。本来ならば「看板を架け替えたって中身が一緒ならダメですよ」と言いたいところだが、そこは銀行という特殊な規制業種。看板の違いで結果に大きな違いが生じるのだ。このところこの二社は、たとえばCDSの価格の推移を見ても、非常にきびしい状況となっていた。シティなどの大手銀行は買収に難色をしめしていたようだし、中国や韓国に買われるのもどうかな・・・と感じていた。そこでリーマン的破綻を避けるウルトラCとして発案されたのではないか。でも、銀行に変わることでひとまず落ち着くかどうかはまだ不透明。さらなる展開も十分予想されるところだ。

では。

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エコノミストに記事を書きました

最新号のエコノミスト誌(毎日新聞社)に記事を書きました。「UBS報告書にみる「リスク軽視」を生んだ土壌」というタイトルです。今の段階でこちらに掲載することはできないので、ご興味のある方は書店でご覧ください。よろしくお願いします。

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2008.09.18

今時点でのアメリカの倒産のランキング

備忘録です。

10. United Airlines
Assets: $25.2 billion
Date Filed: Dec. 9, 2002

9. Pacific Gas and Electric
Assets: $29.8 billion
Date Filed: April 6, 2001

8. Global Crossing
Assets: $30.2 billion
Date Filed: Jan. 28, 2002

7. Refco
Assets: $33.3 billion
Date Filed: Oct. 17, 2005

6. Financial Corp. of America
Assets: $33.9 billion
Date Filed: Sept. 9, 1988

5. Texaco
Assets: $35.9 billion
Date Filed: April 12, 1987

4. Conseco
Assets: $61.4 billion
Date Filed: Dec. 18, 2002

3. Enron
Assets: $63.4 billion
Date Filed: Dec. 2, 2001

2. Worldcom
Assets: $103.9 billion
Date Filed: July 21, 2002

1. Lehman Brothers
Pre-Bankruptcy Assets: $639 billion
Date Filed: Sept. 15, 2008

Source: CNBC

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急展開する金融市場の情勢を読み解く記事 - 今日の備忘録

急展開する事態にキャッチアップするために色んな記事をどんどん読まないといけない状況です。備忘録としていくつか挙げておきます。

Dumbest Merger Proposal In History: Wachovia + Morgan Stanley はMishのブログより。ワコビアとモルスタでは弱者連合なので最悪の組み合わせだ、という内容。まあMishは金融の専門家ではないからジャーナリスティックな読み物だと思えば読める。ちなみにシティは手を挙げなかったそうです。

ワシントンポストのロバートサミュエルソンのWall Street's Unravelingというエッセー。投資銀行の問題は、自己勘定でリスクをかかえたこと、報酬体系、そして高レバレッジである、という内容。まあ、それだけならば当たり前といっても良い内容か・・・。

ロバート・シラーの"A Perception of 'Good faith' is Key to Economic Growth"というタイトルのエッセーがEconomist's Viewで引用されています。互いの信頼が崩れたら経済もダメになる、という話。シラーといえば住宅のケース・シラー指数を作ったことで有名ですが、オリジナルのアイデアを持っている人で、私は個人的に非常に高く評価しています。(新著の「サブプライム・ソリューション」も素晴らしい。そちらはまた近いうちに取り上げたいと思います。)でも、これはどうかな・・・。むしろコメントに面白いのがありました。例えばBlissexという人はこう言っています。「ファニー・メイとフレディー・マックはベール・アウトされたわけではない。これらのGSEは米国政府の(一種の)SIVである。過去に、政府の負債を減らすために民営化し政府保証を取り下げた、という経緯がある。今回、GSEを政府のバランスシートに再び取り込むのは(政府の負債が増えすぎて)無理なので、中途半端なやりかたになっている。」それからマイケル・マッキンレー氏はこう述べています。「(金融機関の尻拭いについて)納税者に負担させるべき。それにより馬鹿な政府を変えるインセンティブになる。さらに出来ればその部分を別建てにしてはっきり見えるようにすべき。そうでないと費用が雲散霧消してしまい、政治家を助けるだけになる・・・。」そうですね。確かに、納税者の意識を高めることは重要。でも現実には「別建て」というのは無理でしょうねえ・・・。

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2008.09.02

新しい記事

ジェイキャストでしつこく原油価格について書いております。よろしかったらこちらをお読みください。

先物と現物の関係は、(良いたとえではないかもしれないが)ダフ屋のことを考えるとわかりやすいかもしれません。仮にある有名ミュージシャンの公演チケット(一万円)についてダフ屋が暗躍しているとします。その時ダフ屋同士でチケットを売買するのが、原油先物市場での投機家の売買に相当します。ダフ屋同士でチケットを売買する過程で価格が二万円、三万円・・・と上がっていくことが考えられますね。しかし、このチケットは実際にそれを使ってコンサートの席に座る人(実需のある事業者に相当)が購入しない限り何の価値もありません。したがって、その実際のニーズ(実需)からかけ離れた価格での売買というのは、市場が効率的な限りありえません。

では。

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